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The Gatewatch Era, So Far

背景世界 考察

http://www.starcitygames.com/article/34615_The-Gatewatch-Era-So-Far.html

 

 カラデシュの幕は閉じた。半年サイクルでストーリーを語る新体制「ゲートウォッチ期」も3ブロック目を終えたわけだ。

 マローが好んで使う言葉だが、マジックのデザインは振り子のように動く。別の方向へと振れるものの、ゲームの中心からは決して離れすぎない。MTGの背景世界も同様だ。ゲートウォッチに目を凝らす前に、過去セットがどうだったかを参考にしようか。

 

MTG背景世界の略歴

 最初期のMTGは「あなたはプレインズウォーカーとなり、次元をかけて対決する」という簡単な文言を超えるストーリーはほぼなかった。熟成を経て、ウェザーライトサーガと呼ばれる複雑で壮大なストーリーが展開され(ジェラード・キャパシェン、サマイトの癒し手オアリムといった非PWを載せた船ウェザーライト号に因む)、インベイジョンブロックでクライマックスを迎えた。この時代のストーリーは、大小さまざまな見せ場がカードで表現されていることが特徴的だ。偽り/Jiltなどは、それまでの経緯を知っていなければ意味を成さないだろう。

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 振り子は戻る。ドミナリア次元の中でもウェザーライトサーガに幕を引いたアポカリプス/大災害の影響が小さいオタリア大陸を舞台としたオデッセイ、オンスロートが続いた。その後の3ブロックは次元名がそのままブロック名に冠され、ほぼ独立したストーリーとなっていた。

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 振り子は振れ続ける。タイムスパイラルは懐古ブロックであり、裂け目/Riftの「大修復」によってプレインズウォーカーを弱体化させることでかつての背景世界に敬意を表した。ローウィン・アラーラ・ゼンディカーブロックは新時代の幕開けだった。ジェイスやテゼレットといった新世代プレインズウォーカーの登場は背景世界が新たな時期に移るための前準備となった。

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 ゲートウォッチ直前の時期を「再訪期」と呼ぶ人もあろう。ミラディンの傷跡やラヴニカへの帰還のような直接的な再訪でなくとも、既存プレインズウォーカーの新たな側面を見せる時期でもあった(イニストラードのソリン、タルキールのサルカン・ヴォルなど)。

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  もしくはその両方か。

 再訪期とゲートウォッチ期の線引きはタルキール龍騎伝とマジックオリジンの間で奇麗に分かれる。理由を述べていこう。

ゲートウォッチ期の明確な変化

基本セットの廃止と2ブロック制への移行

 最後の基本セット「マジックオリジン」は、後にゲートウォッチに加盟することとなる5人の紹介に再利用された。2ブロック制はローウィン・シャドームーアブロックにも見られたがゲートウォッチ期以降では定例となったところがタルキールブロック以前と異なる。

物語の見せ場が再びカード化されるようになった

 テンペストブロックほどではないが、マジックオリジン以降クリエイティブチームはストーリー上のワンシーンをカードに落とし込むようになった。かつては「決定的な瞬間」と呼ばれていたが、カラデシュから晴れて「注目のストーリー」の名で正式化された。

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小説版の廃刊、アートブックの刊行

 Mike Linnemannが言い出したことだが、ここ10年以上WOTC背景世界の詳細をネット公開する一方で、有料の小説・電子書籍を販売してきた(テーロスを例として挙げておく)。例外は総天然色の小冊子小説が同年に出たアラーラくらいのものだろう。こんにち、小説版はネットで無料公開されており、他方では細密な設定資料と秀麗なイラストの詰まった大判のアートブックが販売されている。

映画化が進行中…?

 2014年1月17日、20世紀FOXとハズブロMTGの映画化を発表した。18ヶ月後マジックオリジンのお目見えとなり、以後のセットではゲートウォッチの奇妙な冒険が展開されるようになった。ブロック構成を編成し直し、設定とストーリーを半年サイクルにすることでゲートウォッチ以降では背景世界の導入機会が倍に増えた。必然とまでは言わないが、偶然にしてはタイミングが良すぎる。

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ゲートウォッチメンバーの常連化

 霊気紛争の時点で、ギデオン、ジェイス、チャンドラ、ニッサらはマジックオリジン以後7つのセットでスタン落ちしたことがない。リリアナは戦乱のゼンディカー時点ではゲートウォッチメンバーではないが、同様にスタン落ちしたことがない。7セットにわたるスタン皆勤賞は近年のマジックでは類例を見ないことである。

これまでのゲートウォッチ

マジックオリジン:物語の始まり。

 マローが公にしたことだが、ゲートウォッチはアメコミ及び映画化作品に登場するスーパーヒーローチームのアベンジャーズジャスティスリーグに対する回答だ。マジックリジンでは正義漢気取りの青二才や受難の癒し手が、騎士ギデオンジュラ・魔性の女リリアナヴェスへと変貌するさまが描かれる。他の3人のストーリー(ニッサの場合はのちに更に付け足されたが)も、手際よく1セットに詰め込まれている。

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戦乱のゼンディカー:結束する。

 アベンジャーズの譬えをまた持ち出すが、既存のスーパーヒーローが各自の思惑から結束し、「また会おうぜ」と約束する。ゲートウォッチの誓いはこの約束をまさしく体現したセットであり、アベンジャーズ1巻を思い出した人も多いだろう。

イニストラードを覆う影:困難に遭う。

 アベンジャーズ2巻では、宇宙から飛来した「スペースファントム」がハルクの体を奪い、アベンジャーズを内部崩壊しようとした。異界月では約束されし終末が同様の事態を引き起こしたが、絶対・勿論・全く以て100%偶然の一致だ。何とか彼らは生き残った。全て元通りとはいかないが。MTGではチームメンバーの脱落(ハルク)の代わりに、新たなメンバーが加わる形で落ち着いた。

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カラデシュ:有名になる。

 Xメンやファンタスティックフォーとのクロスオーバーとはいかないが、ゲートウォッチの許にもドビンバーンが訪れ、発明博覧会の警備を願い出た。ゲートウォッチは一流の仕事をすることになるのだが(ご苦労にも次元橋をぶっ壊した)、トラウマを呼び覚ましたチャンドラが最初に生誕の地へと帰還した。それを追った残りの面々は旧敵テゼレットを発見し、その後ろにニコルボーラスが控えていることを知る。そのことで次なる冒険の地がアモンケットに定まるのだが、新メンバーのアジャニはこの決定を良く思っていない。

アモンケットはどうなる?

  これがマーベルやDCコミックスグラフィックノベルなら、定めしゲートウォッチvol.4となるだろうが、どうなることやら。MTG学教授が自説を動画で述べていたが、アモンケットでゲートウォッチが敗北するという意見には同意しきれない。

ゲートウォッチはニコルボーラスとの戦いに敗北するのか?

 これまでのゲートウォッチの戦績は「巨人を陥落し」「女神を(一応)封印し」「改革派を解放した」。ハラハラする場面もあったが(エムラクールとの対決は読む側の精神が壊れそうだった)、現時点で全勝のゲートウォッチには敗北が必要だ。常勝無敗の俺ツエーは…退屈だ。敗北へのお膳立てが整ったわけだが、どの程度の敗北を喫することになるだろうか?

ゲートウォッチはメンバーを失うのか?

 ここが特に教授と相いれない部分だ。ゲートウォッチは少なくとも一人減ることになるだろうが、脱落であって死別である必要はない。

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 構成要員が増えるほど、集団は安定を失う。アジャニが誓ったことで、ゲートウォッチには今6人所属している。キャラクターを書き分けるには少々多い。レオニンは少なくとも物語の開始時点ではアモンケットへの旅に同行しないだろう。それでも5人と5色が残されている…一説によるとアモンケットは対抗色のセットだそうだ。意見を変えてチームを去るのは自分勝手なリリアナかもしないし、ひょっとしたらチャンドラやジェイスかもしれない。

 ニコルボーラスがリリアナと悪魔の契約を取り持った。その美貌に反して、リリアナは他のメンバーの年齢を合わせたものより長く生きている。彼女は時のらせん以前のプレインズウォーカーの全能を知っており、かつての力は失ったものの4人の悪魔との契約により永遠の若さを得た。代償はついたが。以後、リリアナは契約相手の悪魔、コソフェッドとグリセルブランドを始末してきた。

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  だがそもそもの原因は誰か?ボーラスだ。かの悪評からすれば信じがたいことだが、ボーラスはこの契約に自分の利益となる文言を入れていなかった。悪魔からの解放をちらつかせるのか、契約によって引き抜くのか、はたまたどんな手でボーラスがリリアナに関わるか見当もつかない。だがリリアナはゲートウォッチに未練はないだろうから、彼女の脱退によってゲートウォッチは崩壊の危機に瀕することになる。


 映画的な見方が多かったが、以上が私のゲートウォッチ予測だ。


 ゲートウォッチの来し方行く末の話はこれにて終幕。さて、君の意見を聴かせてくれ。